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CentOS Linux 7 は、2024 年 6 月 30 日にサポート終了 (EOL) となります。Red Hat Enterprise Linux 7 for Third Party Linux Migration を始めとする、移行を容易にする Red Hat の各種オプションをご覧ください。詳細はこちら


Red Hat Enterprise Linux (RHEL) で提供されている convert2rhel ツールを使うと、次の 3 つの基本的な手順を通じて、CentOS Linux や Oracle Linux など一部の RHEL 派生オペレーティングシステムをフルサポートの RHEL システムにガイドおよびサポート付きで変換できます。

  1. インスタンス内の正規の RHEL コンテンツへのアクセスを設定する
  2. さまざまな安全性チェックを実行し、対処方法に関する情報および修正ガイダンスを確認する
  3. すべてのオペレーティングシステムパッケージを同等の RHEL に置き換えて変換を実行する。アプリケーションやデータを移行する必要はありません。CentOS Linux の各部分が RHEL の同等のものに置き換えられるだけです。これは、ほとんどまたはすべてのパッケージが更新されるマイナーリリース更新と同様であり、所要時間も同程度です。

RHEL の convert2rhel ツールを使用するとこのプロセスがどのように簡単になるかを示すデモについては、次の動画を視聴するか、自習型ラボのチュートリアルでプロセスを体験できます。

このブログ記事では、Amazon Web Services (AWS) で実行されている CentOS Linux インスタンスをフルサポートの RHEL に変換する一般的な 2 つのパスが convert2rhel ツールを使用することでどのように単純化されるかについて説明します。

  1. Bring Your Own Subscription (BYOS) を使用して CentOS Linux インスタンスを RHEL にインプレース変換する
  2. BYOS モデルを使用して Pay As You Go (PAYG) で CentOS Linux インスタンスを RHEL にインプレース変換する

なぜ RHEL に移行するべきなのか

これはよく聞かれる質問です。明らかなメリットとして、サポートケースを作成できることや、Red Hat カスタマーポータルで数千ものナレッジベース記事にアクセスできることが挙げられます。RHEL 製品とサブスクリプションには、その他にも、RHEL 以外を選んだ場合には提供されないコンテンツや機能など、多くのユーザーが認識していないさまざまなメリットがあります。

RHEL は、ハイブリッドクラウドのイノベーションをサポートするための柔軟で安定した基盤を提供します。物理、仮想、プライベートクラウド、パブリッククラウドおよびエッジデプロイメントにおいて、アプリケーションと重要なワークロードをより迅速にデプロイし、一貫したエクスペリエンスを提供できます。

セキュリティとコンプライアンス

RHEL は強力なセキュリティ・フットプリントを持つソフトウェア・サプライチェーン、適用と監査のためのツール、および業界や政府機関のセキュリティ要件への適合性を向上させる認定を提供しており、セキュリティとコンプライアンスで業界をリードする評価を受けています。

Red Hat Enterprise Linux のライフサイクル

RHEL ライフサイクルは以下を提供します。

  • お客様、パートナー、ISV、および RHEL エコシステムのライフサイクル計画に役立つ、明確に定義された予測可能なサイクル
  • 明確に定義されたライフサイクルフェーズに従って機能拡張とメンテナンス修正をリクエストする機能
  • 一部のマイナーリリースのセキュリティ修正およびバグ修正を 2 年間提供する、延長アップデートサポート (EUS) のオプション
  • メンテナンスリリースの終了後にもアップグレードまでのつなぎとして重要なセキュリティ修正を提供する Extended Life Cycle Support (ELS) のオプション
  • RHEL 7、8、9 以降へのメジャーリリースのアップグレードパスは完全にテスト済みでサポート対象

Red Hat Insights

Red Hat Insights は、プラットフォームとアプリケーションを継続的に分析してリスクを予測し、アクションを推奨し、コストを分析することで、IT 支出とハイブリッドクラウド環境の管理の改善に向けた支援をするマネージドサービスです。Insights はすべての RHEL サブスクリプションに含まれており、設定と使用状況データを収集し、そのデータを分析してインサイトを提供し、プロアクティブに問題を特定して修正します。継続的な脆弱性アラートと的を絞ったガイダンスを提供し、セキュリティの問題、非準拠の設定、パッチが適用されていないシステム、および構成ドリフトによる緊急事態を回避し、稼働時間を最大化するのに役立ちます。Insights はすべての RHEL サブスクリプションに含まれています。

Red Hat Hybrid Cloud Console は豊富な機能を備えた Insights 内の管理エクスペリエンスであり、これもすべての RHEL サブスクリプションに含まれています。

Red Hat は、サブスクリプションを購入して RHEL が提供するすべての機能を利用できるようにするだけでなく、開発ユースケースでの RHEL について学習し、RHEL にアクセスするためのさまざまな方法を提供しています。

Red Hat は、個人の開発者、学習者、および一般ユーザー向けに Developer Subscription for Individuals を提供しており、個人用サーバー、ホームラボ、小規模なオープンソース・コミュニティで使用できます。 

ビジネスおよびエンタープライズ向けには、安全で管理しやすいアプリケーション・プラットフォームの、業界をリードするエクスペリエンスを提供しています。すでに他の Red Hat テクノロジーを使用している組織内の開発チーム向けには、Red Hat Developer Subscription for Teams を提供しています。このサブスクリプションは、エキスパートになるために役立つ機能をすべて備えた無料のサブスクリプションです。

​CentOS Linux を RHEL に変換する方法

最初に検討する必要があるのは、RHEL サブスクリプションの支払い方法です。いくつかのオプションがあります。

Bring Your Own Subscription (BYOS)

1 つ目のオプションは RHEL の年間サブスクリプションで、Red Hat またはリセラーから直接購入できます。CentOS Linux を RHEL の年間サブスクリプションに置き換えることを選択する場合は、サブスクリプションの取得方法に応じて、以下のオプションを確認してください。

すでに RHEL サブスクリプションを利用している場合

​以下の手順に従ってアクティベーションキーを作成して開始します。

  1. Red Hat Hybrid Cloud Console にログインし、サブスクリプションを表示します。
A screenshot of the Red Hat Hybrid Cloud Console "Subscription Inventory" page, with the blue "Purchase subscriptions" button circled in red.
  1. 最適なエクスペリエンスを得るには、Simple Content Access (SCA) が有効になっていることを確認してください。有効になっていない場合は、変換するインスタンスを登録するときに、使用するサブスクリプションを手動で指定する必要があります。
  2. SCA を使用している場合は、メニューで [All Apps & Services] > [Remote Host Configuration] > [Activation Keys] の順にクリックします。これにより、「my_conversions」などの名前の付いたアクティベーションキーを作成できます。このアクティベーションキーは後の手順で convert2rhel ユーティリティで使用します。SCA とアクティベーションキーを使用しない場合は、手順に従って、ユーザー名とパスワードを使用してサブスクリプション管理ツールに登録し、特定のサブスクリプションをアタッチする必要があります。SCA とアクティベーションキーを使用するほうがはるかに簡単で、推奨される方法です。
A screenshot of the Red Hat Hybrid Cloud Console "Activation Keys" page, with "Manage Configuration" circled in red in the left hand menu.

サブスクリプションをまだ持っていない場合

​いくつかのオプションがあります。

オプション 1 - RHEL サブスクリプションを購入する

RHEL サブスクリプションを購入するには、Red Hat の営業担当者または Red Hat パートナー (該当するパートナーがいる場合) に問い合わせるか、上の図に示すように青色の [Purchase subscriptions] ボタンをクリックします。

オプション 2 - 60 日間のセルフサポートの RHEL 評価版サブスクリプションをリクエストする

この 60 日間試用版サブスクリプションでは、単一のインスタンスで使い始めるのに役立つ評価版サブスクリプションが 1 つ提供されます。これは、テストシステムを使ってエクスペリエンスを評価するのに最適な方法です。評価版トライアルのサブスクリプションは、実稼働ソリューションや長期ソリューションには推奨されません。60 日後に有効期限が切れ、その時点でインスタンスはセキュリティやバグ修正などの更新を受信できなくなります。そのため、将来的に他のサブスクリプションを取得する必要があります。 

オプション 3 - Developer Subscription for Individuals をリクエストする

Developer Subscription for Individuals は、個人の開発者、学習者、および一般ユーザーに最適なオプションです。個人用サーバー、ホームラボ、小規模なオープンソース・コミュニティで使用できる 16 のサブスクリプションを提供します。

​変換を開始する

これで、システムを登録して変換プロセスを開始する準備ができました。組織 ID (Activation Keys ページにあります) と前の手順で作成したアクティベーションキーを使用します。これにより、convert2RHEL ユーティリティでシステムを登録し、変換を実行できるようになります。

  1. Red Hat はお客様のデータとシステムを大切にします。Red Hat では、予期しない問題が発生した場合に備えて、ボリュームのバックアップを作成しておくことを強く推奨しています。AWS では、関連付けられた Elastic BlockStorage (EBS) ボリュームのスナップショットを作成することでバックアップできます。詳細については、AWS ユーザーガイドをご覧ください。
  2. RPM ベースの Linux ディストリビューションから RHEL への変換」についてのドキュメントを確認してください。これをよく読み、サポート表、準備、その他の重要な情報を把握するようにしてください。
  3. 繰り返しになりますが、バックアップの作成を強く推奨します
  4. SSH または AWS ターミナルを使用してインスタンスにログインし、シェルプロンプトにアクセスします。これにより、次のコマンドを実行できるようになります。使用するユーザーアカウントには、sudo コマンドを使用するか、または root スーパーユーザーになる権限が必要です。
  5. サポートされている最新のバージョンにアップデートし、エラータアップデートをインストールします。インスタンスを再起動して、最新のアップデートとカーネルが適用されていることを確認します。
# sudo yum -y update
  1. いくつかの前提条件となっているものをインストールし、変換を開始します。

ファイルをコピーして、コンテンツが Red Hat によって署名されていることを検証します。

# sudo curl -o /etc/pki/rpm-gpg/RPM-GPG-KEY-redhat-release https://www.redhat.com/security/data/fd431d51.txt 
# sudo curl --create-dirs -o /etc/rhsm/ca/redhat-uep.pem https://ftp.redhat.com/redhat/convert2rhel/redhat-uep.pem

CentOS 7 の場合

# sudo curl -o /etc/yum.repos.d/convert2rhel.repo https://ftp.redhat.com/redhat/convert2rhel/7/convert2rhel.repo

CentOS 8 の場合

# sudo curl -o /etc/yum.repos.d/convert2rhel.repo https://ftp.redhat.com/redhat/convert2rhel/8/convert2rhel.repo 
# sudo yum -y install convert2rhel
  1. アクティベーションキーを含む設定ファイルを作成し、.ini ファイル形式で保存します。機密情報の漏洩を防ぐため、アクティベーションキーとパスワードについてはこれが推奨される方法です。プロセスが完了したら、このファイルは削除して構いません。この例では vi テキストエディターを使用していますが、任意のエディターを使用できます。
# sudo vi /etc/convert2rhel.ini

[subscription_manager]
activation_key = <activation_key>
  1. 変換ツールを起動します。
# sudo convert2rhel --org <Organization_ID> --config-file <config_file_name>
  1. 変換が完了したら、insights-client を使用して登録し、Red Hat Hybrid Cloud Console で追加の管理機能を有効化することを強くお勧めします。
# sudo insights-client --register
  1. ドキュメントの残りのガイダンスに従えば、システムを 100% 本物の RHEL として再起動する準備が整います。Insights に登録している場合は、Inventory にシステムが表示されます。
  2. これで完了です。

Pay As You Go (PAYG)

PAYG (オンデマンド請求とも呼ばれる) は、パブリッククラウドでは一般的な支払い方法で、クラウドインスタンスを使用した分だけ従量制で支払うことができます。通常は時間単位または日単位で課金されます。PAYG では、クラウドプロバイダーへの 1 回の決済トランザクションで、インスタンスのコンピュートと、サードパーティのソフトウェアライセンスまたはサブスクリプションの両方の料金を支払うことができます。

この方法を使用する場合、特定のクラウドインスタンスに関連付けられた特定の年間サブスクリプションが最適な選択肢ではないことがあります。たとえば、存続期間の短い仮想マシンインスタンスを動的に起動し、タスクの完了後に破棄する一時的なワークロードがある場合、使用するサブスクリプションの管理が困難になります。 

このような場合は、RHEL への変換プロセスをどのように有効にするかを考慮する必要があります。クラウドパートナーは通常、クラウドインスタンスの非常に低いレベルに埋め込まれたコードを使用して PAYG 従量制課金を有効にしています。そのため、現在はこれらの課金コードを変更して変換後の RHEL インスタンスの従量制課金を有効にすることはできません。したがって、RHEL の料金を時間単位の従量制で支払う場合は、代わりに、事前にビルドされて AWS Console または Marketplace で公開されている RHEL イメージを使用する必要があります。

ただし、上記で概説した BYOS の方法と同じプロセスを使用して、インスタンスを RHEL に変換できる場合があります。この方法を選択する場合は、サブスクリプションの管理を容易にし、エクスペリエンスを向上させるツールをご用意しています。

クラウドベースの自動登録

自動登録、Simple Content Access (SCA)、および Subscription Watch を有効にすると、一部のパブリッククラウド環境で実行されている Red Hat ワークロードをフリートレベルで登録することが可能になり、自動的に接続してフルアクセスを取得し、Red Hat のコンテンツ、分析、ツールを活用して複数のハイブリッドクラウド環境でフリートを管理できます。Red Hat サブスクリプションの支払いに BYOS と PAYG のどちらの方法を選択しても、最高かつ包括的なサービスをご利用いただけます。

  • ステップ 1:簡単な手順に従って、クラウドベースの自動登録で Red Hat アカウントとクラウドパートナーアカウント間のソースのマッピングを設定します。
  • ステップ 2Subscription Watch を有効にします (必須ではありませんが、有効にすることをお勧めします)。
  • ステップ 3:上記の BYOS セクションで定義されているのと同じ手順に従って、RHEL へのインプレース変換を行います。

さらに詳しい情報が必要な場合

RHEL への変換と移行の詳細

Red Hat サブスクリプションの詳細

  1. ハイブリッドクラウドを自在に:RHEL 登録プロセスを自動化する
  2. クラウドベースの自動登録
  3. Red Hat のサブスクリプションサービスの console.redhat.com への移行
  4. Simple Content Access - Red Hat カスタマーポータル

Red Hat がお手伝いします

過去数年で convert2rhel は機能強化され、Red Hat コンサルティングサービス は極めて大規模なエンタープライズ向けの変換を行う多くのお客様を支援してきました。大規模な環境の移行を検討しても、手に余る、あるいはどこから手をつけていいかわからない場合は、Red Hat コンサルティングサービスにお問い合わせください。専門知識とガイダンスをお客様と共有し、その実現だけでなく、プロセスにかかる時間とコストの節約を支援します。


執筆者紹介

Terry Bowling has been designing and working with customers on UNIX and GNU/Linux environments since 1999. He brings this experience to the RHEL Product Management team to provide the best experience to assembling and deploying RHEL for customers. This includes the RHEL installer, image builder and related build services for RHEL being developed at Console.RedHat.com.

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Bob Handlin has helped build and promote products in various parts of the tech industry for more than 20 years. He currently focuses on RHEL migrations and upgrades, but also assists with storage technologies and live patching.

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